【事例1】 下水道管路(コンクリート管 vs 塗装鋼管)の前提【Ver.0.1】

対象事業を、某市の汚水管路更新事業(総延長1.0km、口径400mm)とし、基準期間を50年間に設定した。素材の異なる2案を比較した。

  • A案:鉄筋コンクリート管(ヒューム管)
  • B案:塗装鋼管(防食塗装・電食対策あり)

本試算で用いた単価・比率・労働誘発係数の一部は、公的統計から正確な値を取得しきれなかったため、試算を成立させるための仮定値である。実データではない箇所であることに留意されたい。

1.1 事例1の試算結果(概要)

区分A案(コンクリート管)B案(塗装鋼管)
C(建設労働)4.9人年5.7人年
O(運転管理労働)共通項として比較から除外(5.1節)
M(維持修繕労働)3.6人年3.0人年
R(更新労働)0人年4.2人年
S(間接労働、差分算定)0.225人年0.2人年
D(廃止・撤去労働)基準期間内は供用中のため計上せず(5.2節)
合計8.725人年13.1人年

試算上は、B案(塗装鋼管)の方がA案よりHLRが約4.4人年多いという結果になった。主因は更新労働(R)で、耐用年数の仮定(コンクリート管50年、塗装鋼管40年)に強く依存する結果であり、仮定を変えれば結論が変わりうる点に留意が必要である。

1.2 事例1の試算を通じて得られた主な知見

  • HLRの算定式は、仮定値を置けば実際に最後まで計算を完了できることを確認できた。
  • M・Rの区分基準があいまいな箇所があっても、総HLRの値は変わらないことを実例で確認できた(3.1節)。
  • 産業連関表の部門別労働誘発係数は、公開データベースから簡易に取得することが難しく、実務適用には統計の専門知識や専門家の支援が必要になると考えられる。
  • 直感的には資材費の高い案の方が間接労働も多くなると予想されたが、実際に試算すると、資材の労働集約度(部門特性)によっては両案の差がごくわずかになる場合があることが分かった。これはHLRの結果を説明する際、内訳の透明化が重要であることを示唆する。
  • 耐用年数など主要な前提条件次第で比較結論が変わりうるため、単一シナリオだけでなく感度分析を行うことが望ましいと考えられる。
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