【事例2】 水道浄水場:集約更新 vs 分散更新【Ver.0.1】

隣接3町(給水人口計3万人)の老朽浄水場更新事業を想定し、基準期間60年間で、A案(3施設[計9,000m³/日]を統合し1箇所に更新、2町から送水管路計6kmを新設)とB案(3施設[各3,000m³/日]を個別に更新)を比較した。

区分A案(集約)B案(分散)
C(建設労働)58.8人年58.8人年
O(運転管理労働)300人年720人年
M(維持修繕労働)27人年54人年
R(更新労働)182.25人年222.75人年
S(間接労働、定性的労働含む差分算定)1.0人年0.2人年
D(廃止・撤去労働)6人年0人年
合計575.05人年1,055.75人年

試算上は、B案(分散更新)の方がA案(集約更新)よりHLRが約480人年多いという結果になった。主因は運転管理労働(O)であり、浄水場の当直体制に必要な下限人員が施設数に比例して積み上がる構造が明確に表れた。建設労働(C)は規模の経済と送水管路延伸コストがほぼ相殺し、案間の差がほとんど生じなかった。

  • 運転管理労働(O)は、必ずしも比較対象間の共通項として除外できるとは限らない。除外の可否は、あらかじめ概算で積み上げてみて差の大小を確認したうえで判断すべきである(5.1節)。
  • 住民合意形成等の定性的労働は、「発生回数×1回あたりの標準工数」という簡易な換算式で人年に落とし込むことができた。ただし係数の客観的根拠は乏しく、恣意性が残る。
  • 小規模施設を複数保有すると、当直体制等の必要人員が規模の経済に反して積み上がる(拠点数に対して非線形に増える)ことを、水道分野の広域化の合理性として定量的に示すことができた。
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