手計算でHLRの可能性は見えてきました。次は、計算エンジンにしたい。
しかし、一人会社に開発チームはいません。そこで、AIを開発支援に使えば、自分で設計し、試し、修正しながら形にできるのではないかと考えました。
今回は「AIはすごい」というお話ではなく、HLRが手計算からCalculation Engineへ進むきっかけになったAI活用を、振り返ってみます。
1.手計算してみた。では、次はどうする?
前回、橋梁、建物、発電所などを題材に、人的労働を手計算で積み上げてみました。対象によって必要な仕事は違っても、
仕事を洗い出す
→ 労働量を人年にする
→ 評価期間全体で積み上げる
という基本的な考え方は使えそうでした。
そこで次に考えたのが、これを毎回、手計算するのか?という問題です。
対象や条件が増えれば、計算も管理も複雑になります。HLRを本当に使えるものにするなら、いずれ計算の仕組みが必要になります。
2.「計算エンジンにしたい」。でも、誰が作る?
そこで、HLR Calculation Engineを作れないかと考え始めました。
ただし、株式会社水未来研究所は少人数の会社です。専任のプログラマーも、システム開発チームもいません。計算エンジンを作るなら、
- 設計する。
- 計算ロジックを整理する。
- データの持ち方を考える。
- プログラムを書く。
- 動作を確認する。
- 間違いを修正する。
こうした作業が必要になります。
一人で本当にそこまでできるのか。ここが、最初の壁でした。
3.外注しようにも、まだ「仕様」がない
開発会社にお願いする方法もあります。しかし、この時点のHLRには別の問題がありました。
何を作ればよいのか、私自身にもまだ完全には分かっていなかったのです。
手計算を始めたばかりで、計算条件も、データの持たせ方も、必要な機能も、試行錯誤の途中でした。「こういうシステムを作ってください」とお渡しできる完成した仕様書が、そもそも存在しません。
だから、まず自分で試しながら、「HLR Engineとは何なのか」そのものを固める必要がありました。
4.そこでAIを開発支援に使ってみる
ここで、AIが登場します。
AIに最終的なHLRを聞くのではなく、
「この計算をどういう構造にすればよいか」
「この条件をどう整理すればよいか」
「この設計にはどんな問題がありそうか」
「この処理をプログラムにするとどうなるか」
と、一つずつ相談しながら進めてみることにしました。
設計を考える。
整理する。
実装してみる。
動かす。
結果を確認する。
おかしければ直す。
このサイクルをAIの支援を受けながら繰り返せば、
もしかしたら、一人でもCalculation Engineまで作れるかもしれない。
と思い始めました。
当時は「作れる」と断言できたわけではありません。あくまで、「できるかもしれない」という感覚でした。
5.AIに任せるのではなく、AIと作る
ここは、前回までにお話ししたAIの使い方とつながる部分です。
AIを使うからといって、
「HLRを計算して」とAIに聞いて、出てきた数字を採用する
わけではありません。
何を測りたいのか。
どんな条件を使うのか。
その計算結果には意味があるのか。
こうした判断は、自分で行う必要があります。一方、AIには、整理、設計、実装、検証などを支援してもらいます。
この段階から少しずつ、
人間:何を作るかを考え、判断する
AI:それを形にする過程を支援する
という役割分担ができ始めました。
6.「動いた!」だけでは終われなかった
AIを使うことで、これまでならハードルが高かった計算エンジンの開発が、現実的になってきました。
実際にプログラムが動き、計算結果が表示される。これは大きな前進です。
しかし、そこで新しい疑問が出てきました。
動けば、それでCalculation Engineと呼べるのだろうか?
昨日と今日で同じ条件を入れたら、本当に同じ答えになるのか。
条件を一つ変えたとき、意図した部分だけが変わるのか。
後から「なぜこの数字になったのか」を確認できるのか。
「計算できるもの」を作ることと、「信頼して使える計算エンジン」を作ることは違います。
ここから、開発の次の段階が始まりました。
7.締め――一人だから作れない、ではなくなった
少し前までなら、「専門の開発チームがないから難しい」で止まっていたかもしれません。
しかし、AIによって、自分で考えながら、自分で試作品を作り、動かし、修正するという開発のやり方が現実的になりました。HLR Calculation Engineも、そこから動き始めました。
ただし、本当に重要だったのは「計算できたこと」ではありませんでした。次に必要になったのは、その計算を信頼できるものにすること。
ここから、再現性や入力条件、計算ルールなど、現在のHLR Engineにつながる設計が少しずつ始まっていきます。

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